乳幼児難聴は早期発見がとても重要です。難聴児に早期に機能訓練や言語指導などを行うことにより、良好な言語発達が得られることが報告されています。
お子様は3歳までにたくさんの単語を習得します。
3歳の正常聴力児の語彙は平均700語、誕生時に聴力障害を発見して対策を施した子供は、約400語を習得し、生後6ヶ月で発見して対策を施した子供は280語、2年で聴力障害を発見された子供はわずか25語の語彙であった」というアメリカでの報告があります。
このように重症の両側性聴力障害でも、早期に補聴器などの適切なケアを行うことにより、正常なお子さまと同じくらい「言葉」を獲得することができます。
最初に、耳の構造と聞こえのしくみをお話いたします。耳の構造は、外耳、中耳、内耳に大きく分けられます。鼓膜の奥に中耳腔という空間があり、ここに鼓膜の振動を内耳に伝える3個の骨(耳小骨:ツチ、キヌタ、アブミ骨)があります。
外耳から入った音は鼓膜を振動させ、それが耳小骨を伝って内耳に入ります。内耳の蝸牛(かたつむり)部分にある聴覚神経が振動を感じ取り、その信号を脳に伝えて「聞こえる」ということになります。
聞こえが悪い場合に考えられる病気はたくさんありますが、小さなお子様ですと、主なものは以下のとおりです。
先天性の難聴は、2歳から3歳頃、言葉の発達の遅れで発見される場合が多いと言われてます。しかし、言語発達には臨界期があるために、早期発見の重要性は従来から指摘されていました。先天性の難聴は1,000 出生中の1~2人と言われています。これまでは有効なスクリーニング方法が得られていませんでした。近年、新生児用の優れたスクリーニング方法が開発され、生後6カ月以内に聴覚障害の診断を行うことが可能になりました。難聴児に早期に機能訓練や言語指導などを行うことにより、良好な言語発達が得られることが報告されています。新生児聴力のスクリーニング方法には自動聴性脳幹反応(AABR)と耳音響反射(OAE)があります。
最近は出生時に産婦人科で自動聴性脳幹反応(AABR)を施行することが多くなってきました。簡単に短時間の検査で聴覚系の全経路を検査できます。しかし、その精度にはまだ改善の余地が残されています。
一方、OAEはプローブの挿入方法、耳垢、滲出液に影響されるため、内耳より中枢の異常は検出できませんが、外耳道、中耳の観察や鼓膜の動きを調べる検査と同時に行うことにより、かなり正確なスクリーニングができます。